自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

若葉のころ 2015年

あの頃の思い出はいつも心の中にある

台湾、ジヨウ・グータイ監督

ワン・レイが17歳だった1982年と17歳の娘バイの2013年の初恋をクロスさせたどこか懐かしい物語。台湾映画はいつも少し前の日本を思い出させる。

ピアノ演奏会にきていたワンは初恋の相手リン・クーミンを見かける。しかし女性と一緒だったリンはワンに気づかなかった。ワンは30年前、17歳の時の初恋を思い出す。

リンがワンにラブレターを渡し「返事を待っているよ」と言ったのが最後だった。その後、リンはある事件を起こし退学になり香港へ去ってゆく。それから一度も会うことはなかった。

ある夜、ワンが交通事故で意識不明の重体に陥ってしまう。娘バイはパソコンの中に未発信のメールがあるのを見つける。それは初恋の相手リン・クーミン宛だった。

バイは母ワンの「会いたい」という願いを察し、それを発信する。メールを受け取ったリンは駅でバイと待ち合わせをする。

この映画は17歳のワンと17歳の娘バイの初恋が重なって分かりにくいのが難点だ。

でも少女たちの初々しさと鮮やかな色彩の映像に惹きつけられる。特に5月の緑の風景には心を洗われるようだった。

 

藍色夏恋」「恋々風塵」など台湾の青春映画には甘酸っぱいノスタルジーがいっぱいだ。

懐かしい場所に戻ることはできるかもしれないが、あの頃の時間はもう戻らない。思い出はいつも心の中にある。