誰のせいでもない
アメリカ。ラッセ・ハルストレム監督
シングルマザーのジーンは11歳の娘グリフと暮らしていたが、恋人ゲイリーの暴力に耐えかねて家を出てしまう。行きあてのないジーンは亡くなった夫グリフィンの父親アイナーが住むワイオミングの牧場を10年ぶりに訪ねる。
しかしアイナーは息子の死はジーンのせいだと思っていて「何の用だ」と追い返そうとするが、グリフが自分の孫娘だと聞かされ、一か月という約束で二人が牧場で暮らすことを承知する。
アイナーは親友のミッチと一緒に暮らしていた。ミッチは巨大な熊に襲われて身体が不自由になり、モルヒネで痛みを抑えていた。その巨大な熊が再び町に現れ、アイナーは撃ち殺そうとするが保安官たちに捕獲されてしまう。
やがてDV男ゲイリーがジーンの居所を知り、連れ戻そうと町にやってくる。
グリフィンが亡くなったのも、ミッチが熊に襲われたのも「事故」だった。だから誰のせいでもなかった。檻から出された熊は山に戻ってゆき、ジーンとグリフは牧場で暮らすことになる。
家の前でミッチとマイナーは椅子に腰かけていた。ミッチは「空を飛ぶ夢をみた」という。その時、カメラは空高く昇ってゆき、俯瞰撮影になる。そこからはワイオミングの山々や牧場やグリフィンの墓・・美しい風景がすべて見渡せた。
ストーリーはそれほどユニークなものではないが、爽やかな風が吹き抜けていくような後味の良い映画だった。日本未公開作品だが私のお気に入り。