自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

代理人 1995年

異人種間の養子縁組

アメリカ、スティーブン・ギレンホール監督

シカゴ、麻薬依存症の黒人女性カイラは赤ん坊をゴミ捨て場に置き去りにしたままで、コカインを探しに行った。赤ん坊イザヤは病院に運ばれるが、母親のドラッグの影響がある「コカインベイビー」は情緒不安定などの後遺症が残ることがあるという。

 

それでも福祉課の白人女性マーガレットはイザヤを引き取って養子として育てる。夫と娘とイザヤとの暮らしが始まる。

数年後、麻薬中毒から更生したカイラは息子のイザヤが生きていることを知り、親権をもとめて訴訟をおこす。裁判は産みの母と育ての母との対決になる。

 

以前にレビューしたショーン・アンドリュース監督作品「インスタント・ファミリー」も養子縁組を題材にした映画で、コミカルでハートウォーミングな作品だったが、「代理人」はもう少し考えさせる映画だった。

おそらく低予算の映画だろうが、ストーリーは分かりやすくて、とても素直な作品だった。みどころは周りが白人ばかりの環境で育てるより、黒人は黒人のなかで育てるのがいちばんいいというアメリカの現実だった。それが裁判官の判断にもつながってゆく。

 

人種間の問題を養子縁組の視点で描いたところが斬新だった。