実録「ボストン絞殺魔」
アメリカ、リチャード・フライシャー監督
1962年のボストン、女性ばかりを狙った猟奇続殺人事件が起こる。最初は老女だけだったが、そのうち若い女性も被害者になる。なぜか女たちは犯人を家の中に招き入れていた。
そしてロープの縛り方が外科結びという特殊なものだった。
警察は異常者たちを片っ端から取り調べていくが、犯人は分からなかった。検事総長補佐のポトムリーが捜査本部長に任命される。それでも事件はつづき13人が殺された。
後半になって初めて犯人が登場する。配管工のアルバート・デサルポはケネディ大統領の国葬の様子をテレビで観ていたが、自分でも分からない衝動にかられて、急に家を飛び出し、若い女性の部屋を覗く。そして泥棒の疑いで警察に捕まる。
本部長ポトムリーは彼が絞殺魔ではないかと疑い、アルバートを尋問する。
精神科医はアルバートを二重人格者だと診断する。「頭から記憶が抜け出てゆく」と、アルバートは自分が何をしたのかを覚えていなかった。
当時としては斬新だった分割された画面が緊迫感とスピード感を生んでゆく。
残虐で異様な最近のサイコスリラーとは違い、どこか格調を感じさせるサイコスリラーだった。