自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

絞殺魔 1968年

実録「ボストン絞殺魔

アメリカ、リチャード・フライシャー監督

1962年のボストン、女性ばかりを狙った猟奇続殺人事件が起こる。最初は老女だけだったが、そのうち若い女性も被害者になる。なぜか女たちは犯人を家の中に招き入れていた。

そしてロープの縛り方が外科結びという特殊なものだった。

警察は異常者たちを片っ端から取り調べていくが、犯人は分からなかった。検事総長補佐のポトムリーが捜査本部長に任命される。それでも事件はつづき13人が殺された。

 

後半になって初めて犯人が登場する。配管工のアルバート・デサルポはケネディ大統領の国葬の様子をテレビで観ていたが、自分でも分からない衝動にかられて、急に家を飛び出し、若い女性の部屋を覗く。そして泥棒の疑いで警察に捕まる。

 

本部長ポトムリーは彼が絞殺魔ではないかと疑い、アルバートを尋問する。

精神科医アルバートを二重人格者だと診断する。「頭から記憶が抜け出てゆく」と、アルバートは自分が何をしたのかを覚えていなかった。

 

当時としては斬新だった分割された画面が緊迫感とスピード感を生んでゆく。

残虐で異様な最近のサイコスリラーとは違い、どこか格調を感じさせるサイコスリラーだった。

最終的に警察はアルバート絞殺魔だと立証できず、彼は殺人犯として裁かれることはなかった。