自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ラジオ・コバニ 2016年

激動の3年間を描いた69分のドキュメンタリー

オランダ、ラベー・ドスキ監督

トルコ国境に近いシリア北部、クルド人街コバニは2014年9月、IS(イスラム国)のテロリストたちに占拠された。若い男たちは斬首され娘たちは売り飛ばされた。4カ月後、クルド人民防衛隊(多くの女性がいた)と連合軍によって解放された。

 

瓦礫と化した街に若い女性ディロバンは女だけの手作りのラジオ局を立ち上げた。様々な人の声を聞き、情報を伝え、歌手を招き、街の再建をめざしてゆく。「ラジオ・コバニは自由の声」

ISによって斬首され埋められた遺体が掘り起こされる。それは腐乱してもはや人間の原形をとどめていなかった。

散髪中のスナイパーだった男にインタビューする。「ISには子供の兵士もいた。洗脳されて自爆要員だった。その子供たちを殺した」

捕虜になったISの兵士にインタビューする。「なぜ同じムスリムを殺したのか」「彼らは不信心でアッラーの教えに従っただけ」「だからと言って殺していいのか」「貧しさから兵士になった、家族に会いたい」

 

徐々に街に活気が戻ってきた。家が建ち、食品店がシャッターを上げ、パンの匂いがする。元兵士が鍛冶屋に戻り、若い女性が閉じていた店を開く。子どもたちが外に出てのびのびと遊び始める。

ラジオは設備投資も少なく、とてもシンプルなメディアだ。何よりもラジオ・コバニには本物のジャーナリストがいた。