自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

クローブヒッチ・キラー 2018年

もし自分の父親が連続殺人犯だったら

アメリカ、ダンカン・スキルズ監督

ケンタッキー州の信仰深い小さな町、10年前に「クローブヒッチ・キラー」(巻き結びの殺人鬼)と言われた連続殺人犯が町を震撼させていた。

16歳の少年タイラーはふとしたことから父親ドンがその連続殺人犯ではないかという疑いを持つ。事件を追っていた一風変わった少女カッシと共に真相を探り始める。

タイラーは地下に隠されていた証拠を見せて、父親に問いただすと、タイラーの伯父ルディが犯人だという。

伯父は10年前に交通事故で車椅子の病人になり、言葉も話せなかった。確かに10年前から連続殺人は起こっていなかった。それでもタイラーとカッシは父親を尾行する。

後半の時系列を交錯させた映像が私たちに「ああ。そうだったのか」という大きな衝撃を与える。この映像のタイミングがじつに見事で、演出の巧みさを感じさせ、私たちはもう映画から目を離せない。

 

アメリカの小さな町で起こった殺人事件は、どこかスティーブン・キングの小説を彷彿とさせるものだった。しかし結末は恐怖とサスペンスいっぱいのキングの小説とはまったく違っていた。

舞台となった信仰深い町らしい奇妙な結末だったが、面白い映画であることは間違いない。