新しい生命の息吹
フランス、ジェラール・ユスターシュ=マチュー監督
1980年代後半、人里離れた修道院で暮らす20歳の修練女アヴリルは、修道女になるために2週間の断食と沈黙の誓いに入り、礼拝堂に閉じこもる。
その時、捨て子だったアヴリルはベルデナット修道女から自分には双子の兄がいることを知らされる。兄は孤児院に預けられ、その後、養子になったという。
「外の世界を見てきなさい」とベルデナット修道女は言う。
アヴリルは礼拝堂を抜け出し、2週間の間に、兄に会いに行こうとする。途中で車に乗った青年ピエールに助けられ一緒に孤児院を訪ねる。養子先に電話をすると兄デヴィッドは恋人と南フランスの灯台近くの小屋でバカンス中だという。
兄はゲイで恋人は男だった。
孤独と静寂を愛していたアヴリルは、今まで知らなかった世界で男3人たちと太陽の下で暮らし始める。やがて2週間が経ち、彼女は修道院の礼拝堂に戻る。
その壁にボディペインティングで絵を描く。それは新しい生命の息吹だったが、修道院長の怒りをかってしまう。
夜、病床でアヴリルは生死の境をさまよっていた。その時、突然、風車が回り出す。それは神がアヴリルに与えた生命の息吹だった。
感動作になる物語をそうすることなく、ドラマ性を排し、淡々と描いていた。そして絵画的な映像がこの作品に生命を吹き込んだ。