自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

告発 1994年

実話に基づいた物語

アメリカ、マーク・ロッコ監督

1941年、アルカトラズ刑務所で脱獄囚のヘンリー・ヤングが食堂で一人の囚人をスプーンで刺し殺した。

ヘンリーは17歳の時、たった5ドルを盗んだ罪でアルカトラズ刑務所に収監されていたが、副刑務所長グレンの残忍な拷問に耐えられなくなり、脱獄を図ったがある囚人の密告で失敗に終わった。そして地下牢に3年間も閉じ込められていた。

そのため精神に異常をきたし、地下牢から出た日に、密告した囚人を衝動的に殺したのだ。

官選弁護人として新人弁護士のスタンフィルが面会するが、ヘンリーは何も話そうとはせず、死刑になることを望んでいた。なぜならアルカトラズ刑務所に戻って、二度とあの恐怖を味わいたくなかったからだ。

ヘンリーの関心はただ一つだった。それは野球選手ディマジオの成績だけだった。

弁護にたったスタンフィルはこの殺人は刑務所内の非人道的な行為の結果でもあると主張し、刑務所長、副所長を告発した。その報道は社会に大きな衝撃を与えた。

 

緊迫した法廷劇でもあったが、それ以上に人の尊厳を失わせるアルカトラズ刑務所への告発の物語だった。

やがてアルカトラズ刑務所は廃止された。でも後に「アルカトラズからの脱出」「ザ・ロック」などのおもしろい映画を残した。