自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

横道世之介 2012年

あの日にかえりたい

日本、沖田修一監督、160分

1987年、長崎から上京して、法政大学に入学した18歳の横道世之介

最初に友達になった倉持、女子学生の阿久津唯、パーティガールで年上の千春、ゲイの同級生加藤、お嬢様育ちのガールフレンド祥子・・彼らとの交友が面白おかしく描かれる。

16年後、世之介はカメラマンになり、倉持と阿久津唯は結婚して中学生の娘がいた。祥子は国連の仕事で世界を駆け巡り、千春はラジオのパーソナリティになっていた。ゲイの加藤が世之介の事を友人に話すと、「横道世之介」ってどこかで聞いたことがあると言う。

 

倉持は「あいつに会って得した気分だ」と笑顔で懐かしく世之介を思い出す。

祥子は世之介が最初に撮った写真を見て、タクシーの中で目を潤ませながら彼を想う。

実際に起こった新大久保駅での転落事故が大きな意味をもっていた。

 

たった一つを除いて、大きな出来事は起きない。でも私たちは自分の青春時代を思い浮かべ、心の中に大きなドラマを作ってゆく。もちろん映画と同じ青春を送ったわけではないが、その懐かしさは同じものだ。この映画は青春そのもの。

出会えたことが、うれしくて、可笑しくて、そして、寂しい・・そんなキャッチコピーがよく似合う青春映画だった。