自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

スティルウォーター 2021年

ビルが異国で得たもの、失ったもの

アメリカ、トム・マッカーシー監督

フランス、マルセイユに留学中だったアメリカ人女性アリソンはルームメイトの殺害犯として5年間、刑務所に収容されていた。油田作業員の父親ビルは娘の無実を証明しようと、オクラホマ州の町スティルウォーターからマルセイユに向かった。

しかし彼はフランス語がまったくできなかった。アリソンと面会したビルはアキムという男が犯人だと知らされる。ビルはフランス人女性ヴィルジニーとその娘マヤの助けを借りてアキムを見つけ出そうとする。

やがてビルはアキムを捕らえ地下室に監禁する。アキムはフランス語でさかんに言い訳をするがビルには分からない。ところが片言の英語のなかに驚愕する言葉があった。それが「スティルウォーター」だった。

その言葉を聞いた途端、ビルはあることを思い出す。そして意外な真相が明らかになる。娘のアリソンは真相を隠していたのだ。

 

アリソンは釈放されて故郷のスティルウォーターに戻り「ここは少しも変わらないね」と言う。しかしビルは「いや、すべてが違って見える」フランスでの経験がビルを変えた。

スティルウォーターで始まり、スティルウォーターで終わる物語だった。

 

脚本も俳優たちの演技も見事だった。サスペンスタッチのヒューマンドラマで味わい深い一本。