「嫌われ者」が「いい人」になる
アメリカ、ジェームズ・L・ブルックス監督
マンハッタン、人気恋愛小説家のメルヴィン・ユドールは毒舌、潔癖症、しかも強迫神経症で誰からも嫌われる独身の中年男だった。
ある日、隣人でゲイの画家サイモンが暴漢に襲われ大怪我をしてしまう。仕方なく彼の愛犬バーデルを預かることになる。最初は犬を毛嫌いしていたメルヴィンだったが、ピアノを聴かせ、一緒に散歩しているうちに愛着を持つようになる。
メルヴィンはレストランのウェイトレス、キャロルに仄かな好意を抱いていた。キャロルには病弱な幼い息子がいた。やがてメルヴィンは他人と触れ合うようになり、閉ざされていた心が開いてゆき、「嫌われ者」から少しずつ「いい人」になってゆく。
ラストシーン、メルヴィンとキャロルが夜明けのパン屋に入ってゆく。かぐわしい出来立てのパンの匂いがしてきた。
主役のメルヴィンを悪人顔のジャック・ニコルソンが演じるとなぜか「コメディ」になってしまう。キャロル役のヘレン・ハントの軽妙な演技とうまくマッチして面白い作品に仕上がっていた。二人の演技が楽しめる映画だった。