自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

哀しみの街かど 1971年

70年代ジャンキーのリアルな日々

アメリカ、ジェリー・シャッツバーグ監督

堕胎手術で疲れ切ったヘレンは同棲相手の部屋でヤクの売人でジャンキーのボビーと知り合い、彼の優しさに惹かれてゆく。

ボビーはヘレンをニューヨークのニードル・パークと呼ばれる公園に連れてゆく。そこは注射針が散乱して、ジャンキーがたむろする公園だった。

ヘレンはボビーと一緒に暮らしていくうちにヘロイン中毒者になって身も心もボロボロになってゆく。ヘレンは売春で金を稼ぎ、どんどん奈落に堕ちてゆく。

それでも愛し合っている二人はジャンキーの生活から抜け出そうとするが、ヘロインの誘惑から逃れなかった。

 

ヘレンはボビーを裏切り、二人は何度も喧嘩をするが腐れ縁のように離れられなかった。

救いも希望もない物語だが、ジャンキーのリアルで強烈な生態にグイグイと引き込まれてゆく。殺伐としたニューヨークの街並みは彼らが見ている心象風景のようだった。

 

きっと二人に幸せはやってこないだろう。でも心身ともにボロボロになりながらも生き抜こうとする姿にはある種の感動があった。

二人で「堕ちてゆくのも、しあわせ」なのかもしれない。