自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ショコラ 2000年

北風が南風に変るとき

アメリカ、ラッセ・ハルストレム監督

1959年の冬、フランスの村ランスケネ、北風にのって赤いマントを纏った母娘がやってきた。母はヴィアンヌ、娘はアヌーク。

母娘は孤独な老女アルマンドから空き店舗を借り、チョコレート店を開く。

しかしそこは昔からの因習や規律に縛られた村だった。厳格な村長のレノ伯爵は村人たちがチョコレート店に出入りすることを禁止する。でもチョコレートの味に惹かれ、規律から解放され、愛を知り、人生を楽しむ村人たちもいた。

 

そんな中、ジプシーの一団が船に乗ってやってくる。

北風と共にカカオの治療法を広めるために放浪していた母娘は、やがて南風の吹く季節を迎える。南米マヤで生まれた母の伝説に導かれてヴィアンヌは放浪してきたが、南風が吹いた日、母の遺灰を風の中に撒いてしまう。

彼女は呪縛の運命から解き放たれて、この村で暮らしていこうとする。彼女の長い旅は終わった。

 

寓話、ファンタジー、伝説、ヨーロッパの古い民話・・・そんな味わいを持った物語だった。ハルストレム監督の素朴な人生賛歌と人への優しいまなざしが魅惑的な作品だった。