座頭市シリーズの第一作
日本、三隈研次監督、原作は子母沢寛の短篇
天保の頃、下総、旅の途中だった座頭市は地元のヤクザ飯岡助五郎一家に草鞋を脱ぎ、しばらくの間、逗留することになる。
助五郎は新興ヤクザの笹川繁蔵一家と対立していた。しかし笹川一家には肺病やみの平手造酒という凄腕の浪人がおり、うかつに手を出せなかった。
座頭市の居合抜きを知っている助五郎にはその腕を借りようとする思惑があった。ところが市と平手は池釣りで知り合い、お互いに友情のようなものを感じる。
小料理屋の女おたねは助五郎一家の代貸しを亭主にもち、その上、ヤクザの兄がいた。ある夜、助けられたことから座頭市を慕うようになる。
闇夜、おたねと歩いている市がこう言う「月が上がろうが、こっちはいつも真っ暗だ」
平手造酒が血を吐いて臥してしまった。この時を狙って助五郎は果たし状を送る。
講談「天保水滸伝」を借りた物語設定でこの作品から座頭市シリーズは始まった。この映画ではチンピラヤクザを二人斬るだけだったが、その居合抜きはすさまじいものだった。
木橋での座頭市と平手造酒との一騎打ちが一つの見どころだった。
ラストシーン、街道で市を待つ旅姿のおたね、しかし市は供養のために仕込み杖を埋め、街道を外れて一人、旅に出る。