自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

第七天国 1927年 (サイレント、活弁入り)

シコ、ディアーヌ、天国

アメリカ、フランク・ボーゼージ監督

パリ、下水道掃除夫のシコ、彼は貧しかったが陽気で元気な若者だった。彼の願いは陽の当たる道路掃除人になることだった。それを神に祈っていた。

 

ある日、性悪女の姉から折檻をうけているディアーヌを助ける。行く当てのないディアーヌをアパート7階の部屋に連れてくる。そこは屋根裏部屋のような粗末な部屋だったが、シコは「第七天国」と呼んでいた。

7階から見るパリの風景や空の星は美しかった。「働くのは地の底でも、住むのは星のそば」とシコは言う。

 

やがてディアーヌはシコを信頼するようになり、二人は愛しあうようになる。しかしドイツとの戦争がはじまる。二人だけの結婚式を挙げると、シコは戦場に向かう。4年後、戦死の知らせを受けとるが、ディアーヌは信じなかった。

舞台セットのパリの街並みは「巴里の空の下セーヌは流れる」を連想させた。この街並みがノスタルジックで、今ではもうこんな素朴な映画は撮れないかもしれないと思った。

100年近く前の作品だが、ほとんど風化されていなかった。シンプルでいい映画だった。

 

第一回アカデミー賞、監督賞(ドラマ)、女優賞、脚色賞受賞