自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

アイデンティティー 2003年

そして誰もいなくなった

アメリカ、ジェームズ・マンゴール監督

オープニング、男の声が聞こえる。「階段を上っていたらまた姿のない人に会った」

死刑執行の前日、解離性同一性障害(多重人格)で連続殺人犯の男マルコムの再審理のために精神科医と弁護士と判事たちが集まってきた。

外では大雨が降っている。

大雨の夜、交通も電話も遮断されていた。近くに先住民の墓地のあるモーテルに偶然集まった11人の男女、売春婦、子供連れの夫婦、女優とその運転手、若いカップル、囚人を護送中の刑事、そしてモーテル経営者の男。

 

乾燥機の中で女の生首が回っている。一人また一人と残虐に殺されていく。しかし、しばらく経つとなぜかすべての死体が消えてゆく。何が起こっているのか、犯人は誰なのか、そして動機はいったい何なのか。

不思議なことに11人全員の誕生日が5月10日だった。その上、パリス・ネバダ、ラリー・ワシントン、エド・ダコタ・・と、なぜか彼らには州の名前がついていた。

 

観客のミスリードを誘うようなシーンが挟み込まれる。そして伏線が張り巡らされる。

すべての謎が解き明かされた時、私たちは映像のマジックに騙され、理不尽な衝撃をうける。

しかしまだ終わりではなかった。