フランスの教育事情
フランス、オリビエ・アヤシュ=ビダル監督
パリの名門高校でラテン語を教えるベテラン教師フランソワ・フーコーは、あるパーティで何気なく「教育格差をなくすために問題校にベテラン教師を派遣するべきだ」と持論を述べる。
それを聞いた政府関係者が賛同し、フランソワは、パリ郊外の移民や貧困層の教育困難中学に一年間限定で赴任する。まさか自分が赴任するとは思っていなかった。
その中学は教師たちが「クラスの半分が役立たず」「優しくすれば付け上がり、厳しくすれば騒ぐ」と嘆き、「安月給でクズに教えるのはまっぴらだ」とカナダに移住する教師もいた。
退学して教育の機会を失えば、職業も限られ、ほとんどの者が犯罪に手を染めると、フランソワは生徒たちに話す。
フランソワは決して熱血教師ではなかったが「レ・ミゼラブル」を教材にして生徒たちに学ぶことの喜びを教えてゆく。しかし生徒たちは「将来の人生なんてどうでもいいや」と投げやりだった。
エンドクレジットに「悲しき天使」が流れる。
「♪・・あの頃は一日中歌って踊って、それが永遠に続くと思っていた 好きなように生き、闘っても負けないと本気で信じていた・・♪」
この映画に大きな感動はないが静かな感動があった。でも「静かな感動」だけで充分ないい映画だった。