グロテスクな究極の愛
アメリカ、デビッド・クローネンバーグ監督 96分
科学者のセスはパーティで知り合ったジャーナリストのベロニカに開発中の物質転送装置(テレポッド)を見せる。
物体の転送は成功していたが、生物の転送は失敗していた。しかし改良してチンパンジーの転送を試みると成功した。

嫉妬心と酒に酔った勢いでセスは自分を転送する。しかしテレポッドの中に一匹のハエが紛れ込んでいた。遺伝子レベルでセスとハエは融合してしまう。
最初は力があふれ、爽快な気分だったが、日が経つにつれて異常が現れる。背中に剛毛が生え、歯が抜け、爪が剥がれ、耳が落ち、人相や体臭が変わった。

そして精神的にもセスは変わってゆく。やがてセスは壁や天井を這い、白い溶解液を口から出し、ハエと人間の融合した怪物のような姿になる。
一方、ある日、ベロニカは妊娠していたことに気づき、恐怖に怯える。彼女は異様な生命体を産むという悪夢を見る。

公開当時、ハエ人間のおぞましい特殊メイクと造形に驚いたことだろう。アカデミー特殊効果賞受賞。主な登場人物がわずか3人というB級映画でありながら、見入ってしまう面白さがあった。
オリジナルは1958年の「蠅男の恐怖」