中国の緑あふれる山間地帯をいく
中国、フォ・ジェンチイ監督 93分
1980年代初め、中国湖南省の山間地帯、山の郵便配達を長年やってきた父親は膝を痛め、退職することになった。24歳の息子に仕事を引き継ぐために、一緒に最後の郵便配達の旅に出かける。
同行するのは「次男坊」と呼ばれる愛犬だった。
息子は重い郵便袋を背にして急な山道を父親と一緒に村々を訪ね歩く。山間地帯の美しい風景を背景にした二人のロードムービーだった。
目の見えない老女にありもしない手紙を二人はあたかも孫からきた手紙のように読んで聞かせる。老女は孫が帰ってくることを願っていたが孫は都会を離れるつもりはなかった。
息子はトン族と言われる山の娘と知り合い、惹かれるが、「山の娘とは結婚しない」という。なぜなら自分の母親が同じような山の娘でいつも山を懐かしがっていたからだ。
父親を背負って川を渡る息子、初めての経験に父親は涙を流しそうになる。
息子は子供の頃、郵便配達に出かけてながい間、家に帰ってこない父親を疎ましく思っていた。その思いが今も残っており、二人には打ち解けないものがあった。しかしこの「旅」でお互いの気持ちが通じ合ってゆく。
どこか日本の昔話を思わせる懐かしい物語だった。