私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
アメリカ、スタンリー・キューブリック監督、93分
米ソ冷戦時代、アメリカ空軍のリッパ―准将は正気を失い、妄想に取り憑かれて、ソ連に向けての核攻撃を指示した。英国空軍のマンドレーク大佐はそれを阻止しようとするが、命令は取り消されることはなく、34機の爆撃機はソ連に向かって飛行していた。
タージントン将軍も共産主義を嫌っており、この際、ソ連をつぶしてしまえと言い始める。
大統領を始め、政府高官たちが国防省で対策会議をする。ホットラインでソ連の首相に連絡をとるが、首相は酔っぱらっていた。解決策として爆撃機を撃墜する方法がとられる。しかし一機だけそれを潜り抜けてソ連に核爆弾を落とす。
しかしソ連も核攻撃された場合、地球を破壊する態勢を準備していた。やがて放射能の灰が地球上に降り注ぎ人類は滅び去るのだ。
ピーター・セラーズがマンドレーク大佐、大統領、ストレンジラヴ博士の3役を演じていた。特にドイツ人のストレンジラヴ博士の怪演は強烈だった。映画に一般人は登場せずに、軍人、政治家ばかりで、閉鎖的な空間のなかで物語は進み、お互いの狂気が衝突する。
アメリカ人のマッチョなカウボーイ魂が喜劇のように思えた。水爆のキノコ雲が次々と映し出されるラストシーンではヴィラ・リンの「また会いましょう♪」という歌が流れる。
ブラックユーモアの塊をスクリーンに叩きつけたような作品だった。