ノスタルジーを感じさせる物語
アメリカ、アレクサンダー・ペイン監督、133分
1970年、マサチューセッツ州、ボストン近郊の全寮制の寄宿学校、2週間のクリスマス休暇。学生からも同僚からも嫌われている初老の教師ポールは帰省できない生徒たちの監督を務めることになる。
居残りの5人の生徒たちのうち暫くして4人はいなくなるが、一人だけ残ったのが問題児のアンガスだった。彼の母親は資産家の男と再婚してクリスマスにはお金を送るだけで、家に帰ってこないように言う。
寄宿舎の料理長の黒人の女性メアリー、彼女は最近、息子をベトナム戦争で亡くしていた。その悲しみを内に秘めていた。嫌われ者の二人アンガスとポールは反発しあっていたが、いつしか心を通わせてゆく。それぞれ立場の違う3人がまるで疑似家族のように暮らしてゆく。
寄宿学校の事務員ミス・クレインに仄かな想いを抱くポールはそれが片思いだと気づくシーンはどこかほろ苦さを感じさせた。
ボストンでアンガスは精神病院にいる実父を訪ねるがそのことが母親と継父にばれてしまう、退学処分になるところをポールの弁明で救われるが、そのせいでポールは解雇されてしまう。
アンガスの成長記でもあり、ポールの過去を乗り越えていく物語でもある。
70年代のレトロな雰囲気とユーモアにあふれた展開だった。「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇だ」という言葉を思い出す。