自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

8月の家族たち 2013年

人生はとても長い T・Sエリオット

アメリカ、ジョン・ウェルズ監督 121分、

オクラホマの片田舎、暑い日が続いている。父親ベバリーが失踪した知らせを受け、口腔ガンで薬物依存、毒舌家の母親バイオレットのもとに集まった3人の姉妹。

浮気をした夫と別居中で、反抗期の娘に手を焼く長女バーバラ、従弟との恋に悩む次女アイビー、胡散臭い婚約者をつれてきた自由奔放な三女カレンだった。

その後、ベバリーの自殺とみられる溺死体が湖から発見され、葬儀が執り行われる。バイオレットの妹のマティ・フェイとその夫と息子のリトル・チャールズもやってきた。

 

悲しみに暮れる葬儀後の食事会でのバイオレットとバーバラの怒号と罵詈雑言の応酬が凄まじいものだった。父親が亡くなり、悲しみに暮れるはずの食事会にも関わらず我慢していた感情が爆発した母親と長女の口喧嘩は容赦ないものだった。

ただ一人、地元に残って母親バイオレットの面倒を見ていた次女のアイビーは従弟だと思っていた恋人リトル・チャールズが異母姉弟だと分かり、ショックを受け、涙ながらに去ってゆく。最初に三女が去り、次に次女が去り、やがて長女も去ってゆくのだろう。

「母親をどうするのか、見捨ててゆくのか」と叫ぶ母親のバイオレット。

 

それぞれの家族が抱えていた問題が明らかになり、家族たちは崩壊してゆく。

バイオレット役のメリル・ストリープは迫真の演技で、嫌味な女を演じていた。元は戯曲の舞台劇らしく会話が多かった。

ほとんどが家族内での罵り合いと葛藤の映画で、幸せな家族像とは少し違う作品だった。