実話ベースの社会派ドラマ
韓国、チョ・ヨンサン監督、108分
2011年、大学病院の医師テフンの息子ミヌが意識を失った状態で病院に運ばれる。肺が硬くなる急性間質性肺炎であることが分かる。一度は家に戻った妻のギルジュも突然、同じ病気で亡くなってしまう。
不審に思ったテフンと検事で義妹のヨンジュは病気の原因は加湿器の殺菌剤PHMGであることを突き止める。
加湿器は韓国で1000万台も売れていた。世界的企業オーツー社は殺菌剤が有害物質を含んでいると知りながら17年間も販売を続けてきた。多くの被害者はオーツー社に立ち向かうが、大企業の壁は厚かった。
政治家、学者、弁護士を使ってもみ消しを図る。
被害者側からの裏切りがあり、民事裁判で負けてしまう。被害者たちは窮地に追い込まれる。しかもこれだけ世間の注目を集めているのにオーツー社は加湿器の在庫を一か月以内に売りさばこうとする。オーツー社の責任者は国民が死んでも構わないという姿勢だった。
しかしこの後、信じられない大逆転が待ち構えていた。このどんでん返しがこの映画の最大の見どころだろう。
最初から勝つ方法は一つしかなかった。民事訴訟では埒があかず殺人として訴追することが必要だった。企業論理がまかり通り、どの国でも健康被害を立証するのは難しい。日本の水俣病裁判では50年かかったという。
10年の裁判の結果、健康被害者は95万人、死者は2万人に及んでいた。国は責任逃れをするばかりだった。