自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

シビル・ウォー アメリカ最後の日、2024年

アメリカと暴力

アメリカ、アレックス・ガーランド監督、109分

連邦政府から19の州が離脱したアメリカでは、テキサス州カリフォルニア州の同盟からなる「西部勢力」と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。

「内戦」は「内なる同胞市民との戦い」であるがゆえに「シビル・ウォー」と呼ばれてきた。外敵との戦いである「戦争」とは異なるのだ。

権威主義的な大統領は勝利が近いことをテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。

女性戦場カメラマンのリー・スミスと新米カメラマンのジェシーをはじめとする4人のジャーナリストは、14カ月にわたって一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うべく、ニューヨークからワシントンのホワイトハウスを目指して旅に出るロードムービーだった。

 

彼らは戦場と化した道を車で進むなかで、内戦の恐怖と狂気を目の当たりにしていく。殺戮が当然のように行われる。

その現実は我々の思う以上に深刻かもしれない。国家の秩序が崩壊し、内戦が勃発するという近未来のディストピアを想定することは、あながち荒唐無稽とも言えない。

 

映画を観ていると兵士たちが政府側か西部勢力側なのか分からなかった。分断されたアメリカを象徴するような作品だった。

銃撃戦や戦闘シーンも見ごたえがあったが、旅の途中で出会う死体の山のシーンは恐ろしいものだった。「どういう米国人なのか」と言われ白人至上主義者によってアジア系の二人が射殺される。

政府軍は降伏し、最後には衝撃的な出来事が待っている。