どこまでも続く銃撃戦
アメリカ、クリント・イーストウッド監督、132分
イラク戦争に4度従軍し、160人以上を狙撃し、その栄誉を称え、味方からは「伝説の男」と呼ばれた狙撃手・クリス・カイルの自伝「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」を基に、戦場と家族の狭間での葛藤を描いた作品。

クリスは子供時代から天才的な射撃の才能をもっていた。クリスは国のために戦っていた愛国者だったがその心を蝕んでゆく。対戦車手りゅう弾をもった母と幼い息子を射殺するシーンは戦争の残酷さを描いていた。ゾクッとするようなシーンだった。
敵からは「ラマディの悪魔」として恐れられ、高額な懸賞金をかけられる。輝かしい戦果を挙げながらも、戦場での激しい戦闘は彼の心に深い傷を残していく。
故郷で待つ家族を愛する優しい父親である一方で、戦争の狂気にむしばまれていくクリスの複雑な人間像が描かれる。

2013年2月2日にはアメリカの帰還兵に殺される。この帰還兵はおそらくPTSD(心的外傷後ストレス障害)であったろうが、映画ではその理由を明かさない。
この映画はアメリカ側から見た戦争であって、イラク側からはまた違った様相をみせるだろう。
クリス・カイルという男を、英雄として賞賛する訳でもなく、そして貶める訳でもなく、等身大の男であり、等身大の父であり、という様を描いている。。