自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

禁断の惑星 1956年

絵画的なヴィジュアル

1956年、アメリカ、フレッド・M・ウィルコックス監督

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23世紀、宇宙船のアダムス船長たち乗組員は20年前にアルテカ星に移住して、その後、連絡がとだえた移住団の捜索に向かった。アルテカ星に着くとモービアス博士とその娘アルタ、そしてロボットのロビーだけが生存していた。他の移民たちは全員死亡したという。

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アルテカ星にはかつて高度な文明を誇ったクレル人が住んでいたが、20万年前に突如、絶滅したという。

肉体を消滅させて精神のみの文明をつくりあげたクレル人たちは「イド」とよばれる自らの潜在意識が作り上げた怪物によって滅びたのだった。

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地下には彼らの無限エネルギーの設備や観念を実体化させる装置だけが残されていた。

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なぜ移住団の人たちは全員死亡したのだろうか。実はモービアス博士の潜在意識(憎悪)が実体化して怪物になり、移住団の人たちを殺戮したのだった。そして再びその怪物があらわれて、今度は宇宙船の乗組員たちを襲ってくる。

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50年代の映画なので未熟なところはたくさんあるが、心の奥深くにある形のない潜在意識(憎悪)が実体化され、凶暴な怪物になるというSF的発想は当時としてはとても斬新なものだった。

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パルプマガジンのような挿絵入り空想科学小説の荒唐無稽とアナログ時代の絵画的ヴィジュアルが嬉しい映画だった。