自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

パッドマン5億人の女性を救った男

ナプキンという珍しい題材の映画

2018年、インド、R・バールキ監督 137分

2001年、北インドの小さな村、新婚生活をおくるラクシュミは貧しくてナプキンが買えず、妻が汚い布を使っているのを知り、安価で清潔なナプキンを手作りしようとする。

当時、インドの女性のナプキン使用率は12%で、しかも生理中の女性は屋外の檻に隔離されていた。村人たちは因習と古い価値観を持ち、生理は穢れたものだと話題にするのも避けていた。

ラクシュミの手作りナプキンを妻でさえも恥だと嘆き、親族たちによって妻は実家に帰される。彼は品質の良いナプキン製造のために村を離れて研究を続ける。

ナプキンに必要なのは綿ではなく吸収の良いセルロースだと分かった。

 

苦労の末、ラクシュミは簡易なナプキン製造機を発明する。さらにそれを女性たちに安価で販売し、女性たちがそれを使ってナプキンを製造して売り、利潤を生みだすシステムを開発した。

彼に協力するのが進歩的で活動的な若い女性パリーだった。パリーはじつに魅力的な女性だった。妻への愛よりもむしろパリーとのほのかな愛のほうが印象的だった。

やがてラクシュミの活動は新聞やテレビで取り上げられる。

 

実話に基づいた物語だが、おそらく相当、脚色されているのだろう。どこかおおらかでコミカルなタッチの作品だった。

あなたに降る夢 1994年

大人のおとぎ話

アメリカ、アンドリュー・バーグマン監督、101分

ニューヨークの下町、チャーリーは仕事熱心で誰にでも親切なパトロール警官だった。ある日、コーヒーショップでチップの持ち合わせがなく、気の優しいウェイトレスのイヴォンヌに「持っていた宝くじが当たったら半分あげる」と約束する。

何とその宝くじで400万ドルが当たったのだ。チャーリーは欲深い妻ミュリエルの反対を押し切って半分の200万ドルをイヴォンヌに与える。

ミュリエルはチャーリーとイヴォンヌの数々の善行が気に入らなかった。妻ミュリエルと口論になりチャーリーは家を飛び出す。

同じころ、イヴォンヌも別れた夫から逃れて家をでる。チャーリーとイヴォンヌはホテル・プラザで偶然出会い、やがて二人は一夜を共にする。それがタブロイド紙に報じられてしまう。

ミュリエルは離婚訴訟を起こし、裁判で400万ドルの所有権はミュリエルのものになってしまった。

 

人のよい警官と優しいウェイトレスのハートフル・ヒューマンコメディ。ほどよい温かさの物語で、カフェで一杯の珈琲を飲みたくなるような作品だった。

深夜の告白 1944年

モノクロ映像が印象的なフィルムノワールの古典

アメリカ、ビリー・ワイルダー監督 106分、共同脚本レイモンド・チャンドラー

1938年、ロスアンゼルス、深夜のオフィスに戻ってきた男は殺人の一部始終を録音機に吹き込む。この告白シーンから過去の回想にはいり、物語は始まる。

保険会社の外交員のネフは自動車保険の更新に訪れた邸宅で、美しい人妻フィリスと出会い、彼女に魅了されてしまう。フィリスは夫に傷害保険をかけようとしていた。

いつの間にかネフとフィリスは共謀して夫を殺し、高額の保険金を手に入れようと完全犯罪を計画する。そして用意周到に偽装殺人がおこなわれる。

ネフの同僚で敏腕の保険調査員キーズは保険金詐欺の匂いを嗅ぎつける。しかしまさか親友のネフが関係しているとは思わなかった。

キーズに真相を知られることを怖れるネフ、二人のやり取りが緊迫感を増してゆく。どんどん破滅に向かってゆくネフ、もう途中下車はできなかった。

 

フィリスは悪女だったが、最後にはネフを愛していたことが分かる。

 

モノクロ映像がこの作品に「光と影」をあたえていた。心理サスペンスの香りを漂わせながらグイグイと引き込んでゆく。「フィルムノワールの古典」という名にふさわしい作品だった。