自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

恐怖の精神病院 1946年

怪奇映画からホラーへ アメリカ マーク・ロブソン監督 79分 1761年のロンドン、セント・メリー精神病院、その病院長シムズは患者を残虐に扱い、笑いものにしていた。患者を見世物にして、全身に金箔を塗って窒息死させる。 モーティマ卿の話し相手だっ…

灼熱 2015年

ドアは開いている クロアチア、スロベニア、セルビア、ダリボル・マタニッチ監督 ユーゴスラビアからの独立をめぐり、クロアチア人とセルビア人の間に起こった民族紛争。 第一章「イェレナとイヴァン」紛争ぼっ発時の1991年、同じ村に住むセルビア人の女…

高倉健と沢木耕太郎

深い海の底に 沢木はラスヴェガスでおこなわれるヘヴィー級、ラリー・ホームズとモハメッド・アリのタイトルマッチのチケットを手に入れてもらえないかと友人に電話するが、すでに完売だった。 ところがその友人の知人がチケットを快く譲ってくれた。その知…

ダブル・サスペクツ(ルーベ、嘆きの光)

貧困の町ルーベの光 2019年 フランス、アルノー・デプレシャン監督 ベルギーに近いフランスのルーベ市は国内で最も貧しい町で犯罪が多発していた。ルーベ中央警察署長ダウードと警察官たちが犯罪事件を追ってゆく。 放火事件に続いて83歳の老女殺人事…

かくも長き不在 1960年

戦争は終わっていなかった フランス アンリ・コルピ監督 1960年、パリはバカンスで閑散としていた。セーヌ川の近くでカフェを営むテレーズ、店の前を「♪空がほほえみ、美しい光がさしてくる・・♪」と歌いながら通る浮浪者が、16年前にゲシュタポに連れ…

レオ・レオーニ「あおくん と きいろちゃん」

色紙をちぎった絵本 原題は「Little blue and little yellow」 あおくんはパパとママと一緒に住んでいました。お友達もたくさんいました。でもいちばんの仲良しは、きいろちゃんです。ある日、あおくんはママにお留守番を頼まれますが、きいろちゃんと遊びた…

バベットの晩餐会 1987年

料理を愛に変える女性シェフ デンマーク ガブリエル・アクセル監督 19世紀後半のデンマーク、静寂と潮騒の漁村ユトランド、初老の姉妹は牧師だった父親の遺志を継いで信者の村人たちと慎ましい生活をおくっていた。 ある夜、雨の中、疲れ果てた女性バベッ…

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ 1999年

キューバ音楽の歓びと老ミュージシャンたち アメリカ、ドイツ、フランス、キューバ ヴィム・ヴェンダース監督 最近、「音楽」と「料理」の映画を再鑑賞した。「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」と「バベットの晩餐会」で、どちらも私のお気に入りの作品だ…

リチャード・ジュエル 2019年

現代の語り部 アメリカ クリント・イーストウッド監督 1996年、五輪開催中のアトランタ、警備員のリチャード・ジュエルは公園で不審物を発見する。それはテロ犯が置いたパイプ爆弾だった。素早い行動で多くの人の命を救ったリチャードは英雄として報道さ…

ドープ!! 2015年

ヒップホップという生き方 アメリカ リック・ファムイーワ監督 「ドープ」とは違法な薬物の事だがスラングで素晴らしいという意味もある。 ロサンゼルスの犯罪多発地区イングルウッド、黒人の高校生マルコムは90年代のヒップホップのオタクだった。同じオ…