自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

シオドア・スタージョン「孤独の円盤」

宇宙からのメッセージ 海辺に流れ着いた壜の中のメッセージはどこかミステリアスな気がする。どのような願いと祈りが込められているのだろう。 孤独な人が瓶のなかに「寂しくて死にたい」というメッセージを入れて海に流した。長い年月の末、たまたま海辺で…

ヤコブへの手紙 2009年

ほんのささやかな物語 フィンランド、クラウス・ハロ監督 1970年代のフィンランド、終身刑のレイラは恩赦によって12年の刑期で出所してきた。行く当てのない彼女は盲目のヤコブ牧師のもとで働く。 仕事はヤコブ牧師宛に届いた手紙を読み、返事を書くこ…

浮雲 1955年

花のいのちはみじかくて 日本、成瀬己喜男監督 昭和21年初冬、幸田ゆき子はベトナムから荒廃した日本に帰ってきた。 タイピストだったゆき子は戦時下のベトナムで農林省技師の富岡と愛人関係だった。 東京の富岡の家を訪ねると富岡の妻が現れた。ゆき子は…

読み書きができるということ

7億5000万人 映画「愛を読むひと」は主人公の女性が文盲だったということがとても衝撃的だった。第二次大戦前後のドイツ、若い女性ハンナは本を朗読してもらうことが好きだった。彼女は文字を読むことができなかった。 彼女は裁判での筆跡鑑定を断り、文…

ルート・アイリシュ、2010年

戦争の民営化 イギリス、フランス、ベルギー、イタリア、スペイン、ケン・ローチ監督 ファーガスは親友のフランキーに、イラクで民間兵になれば多額の報酬が約束されると勧誘して、二人は戦争請負会社の民間兵になった。民間兵は軍人よりも凶暴だったが「オ…

アマンダと僕 2018年

エルヴィスは建物をでた フランス ミカエル・アース監督 パリでアパート管理人の仕事をしている24歳の青年ダヴィッドは恋人レナと楽しい日々を送っていた。ある日、姉のサンドリーヌがテロ事件に巻き込まれて死んでしまう。彼女には7歳になる娘アマンダが…

ザ・バニシングー消失―1988年

想像力がもたらす恐怖 オランダ、フランス、ジョルジュ・シュルイツァー監督 仲のいい夫婦レックスとサスキアは車でオランダからフランスへ旅行していた。ドライブインで妻のサスキアが失踪する。3年経ったが行方不明のままだった。レックスはビラを貼り、…

レディ・バード 2017年

母VS娘 アメリカ グレタ・ガーウィグ監督 2002年、カリフォルニア州、サクラメント、17歳の女子高生クリスティンは中途半端な町を出て、ニューヨークの大学に行きたかった。何かを達成したい、この町では幸せになれないと思っていた。 自分のことをク…

芳華―Youth― 2017年

青春、それは芳しい華 中国、フォン・シャオガン監督 1976年、17歳のシャオピンは模範兵のリウ・フォンに連れられて、軍の文芸工作団にダンサーとして入団する。父は思想改造のため10年前から改造所に入れられ、母は再婚し、シャオピンは苛められて…

忘れじの面影 1948年

一方通行のような恋 アメリカ マックス・オフュルス監督 1900年頃のウィーン、ステファンは決闘を明日に控えていたが、夜のうちに逃げ出すつもりだった。口のきけない召使ジョンが見知らぬ女からの手紙を持ってくる。 「あなたがこの手紙を読んでいる時…