自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

小さな映画館が似合う港町

ノスタルジー神戸 1995年1月17日の阪神・淡路大震災の3日後、被害の少なかった私は神戸に向かった。芦屋、御影、三宮の惨状はまるで映画の戦災後のようで信じられない光景だった。多くのビルが倒壊して、その臨場感はテレビの映像とはまるっきり違い…

迫り来る嵐 2017年

この雨はいつ降りやむのだろう 中国、ドン・ユエ監督 物語は2008年、一人の男が出所してくるシーンから始まり、男が11年前の1997年の出来事を回想し、そして記録的な大寒波が中国を襲う2008年で終わる。 1997年、中国のちいさな町、国営の…

L.A.コンフィデンシャル 1997年

暴力と欲望のアメリカ アメリカ、カーティス・ハンソン監督、原作ジャイムズ・エルロイ 1950年代のロサンゼルス、ロス市警の3人の刑事、女には優しいが暴力的な刑事バド、警察学校を首席で卒業したエリート刑事エド、そして記者に情報をながして裏金を…

ミッドナイト・サン 2018年

太陽の光に触れてみたい アメリカ、スコット・スピアー監督 ケイティは太陽の光に当たることが出来ない100万人に一人という難病、色素性乾皮症(XP)だった。幼いころから家の中に閉じこもり、太陽の当たる場所に出ることがなかった。彼女の話し相手は父ジャ…

カルト映画が教えてくれたこと

1982年「バスケット・ケース」 もう一度観たいと思う映画はけっこうあるものだが、それが名作、傑作だとは限らない。もちろん懐かしいということもあるが、当時の自分はどうしてこの映画に惹かれたのかを確かめたいという気持ちもある。 その一つがフラ…

スモーク 1995年

一人でも信じるものがいればその物語は真実になる アメリカ、日本、ドイツ ウェイン・ワン監督 1990年夏、ブルックリンの煙草屋のオーギーは14年前から同じ時刻、同じ街角で写真を撮っていた。もう4000枚をこえている。 近くに住む作家のポールは数年前…

リグレッション 2015年

悪魔崇拝者は存在するのか アメリカ、カナダ、スペイン、アレハンドロ・アメナーバル監督 1990年、ミネソタ州の小さな町、17歳の少女アンジェラは父親に性的虐待をうけたと訴える。刑事ブルース・ケナーがその事件を担当する。訴えられた父親ジョンに…

ある愛の風景 2004年

戦争による心的外傷は癒せない デンマーク、スサンネ・ビア監督 ミカエル少佐は妻サラと可愛い娘二人と幸せな日々を送っていた。刑務所に入っていた弟ヤニックが出所してくる。アフガニスタンへの派兵を命じられていたミカエルは、その夜、出発する。 しばら…

友だちのうちはどこ?

私たちが忘れてしまった「ひたむきさ」 1987年、イラン、アッパス・キアロスタミ監督 イランの村コケールの小学校、8歳のアマハッドは友だちのモハマッド・ネマツァデのノートを間違って持ち帰ってしまう。ノートがないとネマツァデは退学になってしまう。ア…

テープ 2001年

三人の息詰まる会話劇 2001年、アメリカ、リチャード・リンクレイター監督 汚いモーテルの部屋、ヤクの売人ヴィンスを訪ねてきた高校時代の親友で新進の映画監督ジョン。二人は再会を喜び合うが、いつしか話題は10年前の高校時代の「あの日」の出来事…