自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

プロミシング・ヤング・ウーマン 2020年

罪なき傍観者たち アメリカ、エメラルド・フェネル監督 カフェの店員キャシーは30歳を目前にしていたが、夜ごとに街にでかけ酔っぱらい、男を誘っていた。しかし彼女は酔っぱらったふりをして男たちに苦い思いをさせていた。 なぜそんなことをするのか、目…

ランド・オブ・プレンティ 2004年

アメリカ国民の犠牲は許せない アメリカ、ヴィム・ヴェンダース監督 2001年9月11日のテロから2年後、テルアビブ空港から20歳のラナは母の手紙を伯父ポールに渡すためにロサンゼルス空港に降り立った。 ラナは伝道所でホームレスたちへのボランティ…

ブルックリン横丁 1945年

少女の成長物語 アメリカ、エリア・カザン監督 20世紀初頭のブルックリン、貧しいアパートメントに住むノーラン一家。ウェイターの夫ジョニーは楽天的な男で稼ぎが少なく、稼ぎのほとんどが飲み代に消えてしまった。しかし誰からも愛される男だった。 妻ケ…

17歳の瞳に映る世界 2020年

女二人の友情と冒険 アメリカ、エリザ・ヒットマン監督 17歳のオータムは妊娠していたこと知る。ペンシルベニア州では親の同意がないと中絶手術はできないので、従妹のスカイラーと夜行バスに乗ってニューヨークに向かう。 ニューヨークの相談所で胎児のエ…

星野道夫「旅をする木」

星野は1952年千葉県市川生まれ、86年アニマ賞、90年木村伊兵衛賞受賞、96年カムチャッカにて逝去。変わりゆくアラスカを写真と文章で記録していった。 魅力的な33篇のエッセイ集だ。いや何よりも星野の生き方そのものがじつに魅力的なのだ。便利…

アンフィニッシュ・ライフ 2005年

誰のせいでもない アメリカ。ラッセ・ハルストレム監督 シングルマザーのジーンは11歳の娘グリフと暮らしていたが、恋人ゲイリーの暴力に耐えかねて家を出てしまう。行きあてのないジーンは亡くなった夫グリフィンの父親アイナーが住むワイオミングの牧場…

愛する時と死する時 1958年

ドイツ側から見た戦争 アメリカ、ダグラス・サーク監督 原作は「西部戦線異状なし」の著者レマルクの小説 ナチスドイツの敗色が濃くなった1944年、対ロシア戦線、ドイツ軍兵士グレーバーは3週間の休暇をもらい、故郷に帰る。 故郷は爆撃で廃墟の町にな…

1987,ある闘いの真実 2017年

韓国映画の底力 韓国、チャン・ジュナン監督 1987年、ソウル大学生が南栄洞警察の拷問で死んだ。南栄洞のパク所長は北朝鮮国家に家族を殺された脱北者で、その恨みから「アカ狩り」に命をかけていた。 学生の死を隠すためにあわてて火葬しようとするが、…

平安京とオーロラ

以前、三十三間堂から裏道を通って清水寺まで歩いたことがある。途中の山の中腹に突然、巨大な墓地が見えてきた。 その昔、京の都では戦や疫病や飢餓で多くの命が失われた。そんな平安京にもしオーロラが現れたとしたら。 元村有希子「科学のミカタ」にはこ…

行き止まりの世界に生まれて 2018年

嘘のない真実の物語 アメリカ、ビン・リュー監督 イリノイ州、失業者の町ロックフォードは犯罪の四分の一が家庭内暴力だという。スケボー仲間の貧乏白人ザック、黒人キア、中国系アジア人ビンの12年間を追ったドキュメンタリー。 ビンが撮っていた仲間内の…