自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

沢木耕太郎「チェーン・スモーキング」

短編小説のようなエッセイ集。その中の一編「赤や緑や青や黄や」 ちなみにタイトルは「公衆電話の色」のこと。 「私鉄駅のプラットホームで・・売店脇の緑色の公衆電話から少女の声が聞こえてきた。どうやらそれは、入学試験の合否の発表を見にいき、自分の…

私が棄てた女 1969年

60年代の風俗映画 日本、浦山桐郎監督 自動車の部品会社に勤める吉岡努は専務の姪マリ子と恋仲だった。吉岡は出世のためには手段を選ばない野心家だった。 ある夜、クラブの女から森田ミツのことを知らされ、7年前の1961年春、大学生時代の出来事を思…

RUNラン 2020年

緑色のカプセル アメリカ、アニーシュ・チャガンティ監督 郊外の一軒家に住む17歳のクロエは生まれつき不整脈で心臓が悪く、喘息、下半身麻痺で歩くことができなかった。 それでもクロエは自立しようとワシントン大学への入学を目指していた。合格通知がく…

ヒトラーに盗られたうさぎ 2019年

明るい亡命生活 ドイツ、カロリーヌ・リンク監督 原作はドイツの絵本作家ジュディス・カーの自伝的小説「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」 1933年2月、ベルリン、演劇批評家の父、音楽家の母、そして兄と暮らす9歳のアンナ、ユダヤ人の父はラジオ…

冬のホームレスたち

ずいぶん前のことだが・・ 大阪、白昼の西成、男のホームレスが路上に倒れていた。「まな板の上の鯉」のように身体を痙攣させていた。 大阪駅でホームレスたちがレストランの残版を鍋に入れて温めていた。 「夜の姫君」と言われる女のホームレスを見たことが…

ペトルーニャに祝福を 2019年

幸運の十字架 北マケドニア、ベルギー、スロベニア、クロアチア、フランス テオナ・ストゥルガル・ミテフスカ監督 北マケドニアの小さな町、32歳のペトルーニャは大学を出ているのにまともな仕事もなく、太った体形で美人でもなく、恋人もいなかった。 就…

パリの調香師 2019年

爽やかな香りを運んできた フランス、グレゴリー・マーニュ監督 離婚して娘の親権を奪われそうになっていた運転手のギョーム、交通違反で仕事も失いかけていたが、高級アパルトマンに住む天才調香師のアンヌの専属運転手としての仕事に就く。 しかしアンヌは…

凱里ブルース 2015年

つげ義春の陰画的世界を思わせる 中国、ビー・ガン監督 中国、貴州省の凱里市の小さな診療所に勤める医師チェン、彼は9年の刑期を終えて故郷の凱里に戻ってきた。母も妻も亡くなっていた。チェンが可愛がっていた甥のウェイウェイは鎮遠の町に追いやられて…

燃ゆる女の肖像 2019年

魂を揺さぶる民族音楽とヴィヴァルディ フランス、セリーヌ・シアマ監督 18世紀フランスの孤島、女性画家のマリアンヌは貴婦人から結婚のために娘エロイーズの肖像画を描くように依頼される。姉は結婚を強要され自殺し、エロイーズもまた結婚を拒んでいた…

シャーロット・グレイ 2001年

女諜報員の戦争 アメリカ、ジリアン・アームストロング監督 第二次大戦下のイギリス、看護婦のシャーロット・グレイは汽車の中で、政府関係者リチャードからパーティに誘われる。そこでパイロットのピーターと一瞬のうちに恋に落ちる。 シャーロットはフラン…