徳永英明「壊れかけのRadio」
「♪思春期に少年から大人に変わる 道を探していた汚れもないままに・・♪」
もちろん人によってさまざまだろうが、男はいつ少年から大人に変わるのだろう。
ずいぶん前の話だが、淡路島で田舎生活をしている遠い親戚の家で長い夏休みを過ごしたことがある。
私はその田舎の家に住み、神社の回廊で寝ころびながら宗教書を読み、知り合った女の子たちとお城見学、山道の野イチゴを摘み、搾りたての濃い牛乳を飲み、と田舎の生活を満喫していた。
そんな日々を一週間ほど過ごした後、旅館のアルバイトを勧められて江井の旅館に住み込むことになった。その旅館はいわゆる中学生相手の臨海学校というようなところで海辺の近くにあり夏の間だけ開業していた。その旅館で40日間アルバイトをした。
私はいつの間にか旅館の「番頭さん」になり、学校の先生や様々な職業の人たちと知り合い、初めて経験したこともたくさんあった。そして長い夏休みが終わった時、私は17歳から18歳になっていた。淡路島を去る日、少年から大人になったような気がした。
時間は緩やかにそして確実に過ぎ去ってゆく。気づかないうちに少年は大人になるものかもしれない。