家(ホーム)に帰ろう
アメリカ、スティーブン・スピルバーグ監督 115分
宇宙船が飛び去り、地球に取り残された地球外生命体(E.T.)は、森の近くに住む10歳の少年エリオットと出会い、家に匿われる。E,T.を捕まえようとする政府機関の大人たちの追跡が始まっていた。E.T.とエリオットとの交流を描くSFファンタジー。
この映画を私が初めて観たのは公開当時の映画館で満員だった。
ジョン・ウィリアムズのメインテーマ曲の素晴らしさに圧倒された。いつまでも心に残る音楽だった。そして映像的に驚くのは自転車で空に舞い上がるシーンだ。バックは一度目は黄色い満月、二度目は大きなオレンジ色の夕日だった。
空中を飛ぶ自転車と少年の姿が鮮やかにくっきりと映し出される。空に舞い上がるという超自然現象が全くの自然現象だと思えた。おそらく子供たちは拍手したくなっただろう。
今までの映画とは違って、宇宙人って怖くないと印象付けた。エリオットの妹ガーティの愛らしさも印象に残った。
E,T.は「ホーム、フォーン」とたどたどしい言葉で言う。「家に電話する」という意味だった。ここには映画「オズの魔法使い」の「おうちが一番」に通じるものがあった。
ラストのE.T.とエリオットの別れのシーン、E.T.が指でエリオットの頭を指し、「いつも心の中にいる」と言う。かつて大人は子どもだった。このシーンに子どもの心を失っていなかった大人たちは胸が詰まっただろう。