自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

レディ・バード 2017年

母VS娘

アメリカ グレタ・ガーウィグ監督

2002年、カリフォルニア州サクラメント、17歳の女子高生クリスティンは中途半端な町を出て、ニューヨークの大学に行きたかった。何かを達成したい、この町では幸せになれないと思っていた。

自分のことをクリスティンではなく「レディ・バード」と呼ぶように周囲に宣言していた。ちょっと生意気で反抗的で見栄っ張りな普通の女子高生だった。

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学校生活、友情、家族、進学、恋、初体験・・やがて彼女は補欠合格で大学に入学することになり、ニューヨークに旅立つ。

 

憧れのニューヨークだったが友達もいなくて、「♪・・独りぼっちの夜に気づく・・♪」。あれほど嫌いだった教会に出かけていく。そして故郷サクラメントの川や橋、公園、見慣れた街角や道、お店、あらゆるものを懐かしく思い出す。

母の書いたクリスティン宛の手紙がゴミ箱に捨てられていた。その手紙を父が送ってきた。

「妊娠をあきらめていたのに、あなたを奇跡的に授かって・・・」それを読んだクリスティンは母の気持ちと自分の身勝手さに気づく。

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留守電に「私はクリスティン、愛している、ありがとう、感謝している」と伝言を残す。彼女はもう「レディ・バード」ではなかった。

 

おそらくこれがアメリカの普通の女子高生の姿なのだろう。17歳の女子高生が羽ばたいてゆく姿を淡々とユーモアを交えながら描いていた。

大きな感動があるわけではないが、鑑賞後はなぜか心に沁みてくる。なぜならこれは男も女も誰もが経験する「通過儀礼」だったからだ。