自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

金の糸 2019年

珍しいサボテンの花が咲いた

ジョージア、フランス、ラナ・ゴゴベリゼ監督

ジョージアの首都トビリシ、19世紀に建てられた家で娘夫婦と暮らす作家のエレネは79歳の誕生日を迎えた。

「人生は短い旅よ。老いは孤独、一生を共に過ごした人はもういない」とため息をつく。彼女はひざを痛めて杖をつき、外出できない身体だった。

アルツハイマーの症状が出始めた娘婿の母親ミランダと一緒に暮らし始める。ミランダはジョージアソビエト時代に政府の高官だった。

ソビエト時代、エレネの母は収容所に送られた。エレナの本は第三書記だったミランダによって発禁になった。

エレネの誕生日に、60年前の恋人アルチルから電話がかかってくる。彼も妻を亡くし、車いすの生活だった。

ある日、アルツハイマーミランダは外出し、行方不明になる。

 

エレナはひ孫に「日本人は壊れた器を金で修復するのよ」と教える。「金継ぎ」という伝統的な修復技術だった。

そして「過去に囚われても、過去を壊してもいけない。金の糸で過去を繋ぎ合わせるのよ」そうすれば過去は美しく蘇る。

 

映画の背景にはジョージア(旧グルジア)の政治に翻弄された厳しい歴史があり、それは日本映画にないものだ。