自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

深夜の告白 1944年

モノクロ映像が印象的なフィルムノワールの古典

アメリカ、ビリー・ワイルダー監督 106分、共同脚本レイモンド・チャンドラー

1938年、ロスアンゼルス、深夜のオフィスに戻ってきた男は殺人の一部始終を録音機に吹き込む。この告白シーンから過去の回想にはいり、物語は始まる。

保険会社の外交員のネフは自動車保険の更新に訪れた邸宅で、美しい人妻フィリスと出会い、彼女に魅了されてしまう。フィリスは夫に傷害保険をかけようとしていた。

いつの間にかネフとフィリスは共謀して夫を殺し、高額の保険金を手に入れようと完全犯罪を計画する。そして用意周到に偽装殺人がおこなわれる。

ネフの同僚で敏腕の保険調査員キーズは保険金詐欺の匂いを嗅ぎつける。しかしまさか親友のネフが関係しているとは思わなかった。

キーズに真相を知られることを怖れるネフ、二人のやり取りが緊迫感を増してゆく。どんどん破滅に向かってゆくネフ、もう途中下車はできなかった。

 

フィリスは悪女だったが、最後にはネフを愛していたことが分かる。

 

モノクロ映像がこの作品に「光と影」をあたえていた。心理サスペンスの香りを漂わせながらグイグイと引き込んでゆく。「フィルムノワールの古典」という名にふさわしい作品だった。