自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ローラ殺人事件

1944年、アメリカ、モノクロ、オットー・プレミンジャー監督

 1940年代のニューヨーク、ローラ・ハントは才能があり若く美しいキャリアウーマンだった。婚約者カーペンターとの結婚を間近に控えていた。ところが散弾銃で顔を吹き飛ばされた惨殺死体で発見される。

殺人課の敏腕刑事マーク・マクファーソンが捜査にあたる。まずローラの才能を見抜き育て上げた有名な批評家ライデッカーのもとを訪ねる。ライデッカーはローラがどのようにして成功を収めたのか、その経緯を回想しながら語りはじめる。

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捜査をしていくうちに刑事マクファーソンはいつしかローラに興味をいだくようになり、それがローラへの淡い恋心になってゆく。それは「死者への恋」という奇妙なものだった。

ところがローラは生きていた。では殺された女は誰なのか。そこからまた振出しに戻って犯人探しが始まり、ローラもどことなく疑わしい。まさしく推理小説の面白さだった。一体、この物語はどこへ行きつくのか。 

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サスペンスとメロドラマが合わさったような物語で、重くもなく軽くもないという典型的な娯楽作品なのだが、これが予想外に面白い。まるで推理小説を読んでいるようなストーリー展開で、誰もが怪しい人物に見えてきて、だれが犯人なのか終わり近くまで分からない。

突き詰めてゆけばローラをめぐる3人の男の物語といえるだろうが、案外、舞台劇にしても面白いかもしれない。なにしろちょっと奇妙な味わいの小説・・いや映画なのだ。