自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

母の聖戦 2021年

実話に基づいたスリリングな衝撃作

ベルギー、ルーマニア、メキシコ、テオドラ・アナ・ミハイ監督、135分

年間6万件もの誘拐事件が起こっているという誘拐ビジネスが横行するメキシコ。夫と別居中のシエロは10代の一人娘ラウラを組織に誘拐されてしまう。身代金を払ったが、娘は戻ってこなかった。

警察に相談するが、まったく力になってもらえなかった。シエロは一人で娘の行方を探ってゆく。

そんな時、軍のパトロール隊を率いるラマルケ中尉に助けを求め、協力関係を結ぶ。そして自分が調査した組織に関する情報を提供する。シエロは組織から銃撃を受け、車も燃やされて、脅迫に怯える。

法が機能しなくて、治安の悪いメキシコでは自力で戦うしかなかった。

首を切られた女性が見つかったという報道で、シエロは葬儀社を訪ねるが、身体は一つなのに首が二つあった。しかし娘ではなかった。

やがて墓場から娘ラウラのDNAと一致する肋骨が一本見つかった。

 

ドキュメンタリータッチの作品で、母親が娘を取り戻そうとする執念が伝わってくる。実話では刑務所を脱走した組織の一味が、シエロのモデルになった女性を「母の日」に殺したという。

それにしてもメキシコ社会の闇は深い。