韓国のブラック企業の実状
韓国、チョン・ジュリ監督 138分
2016年、特性化高校の女子学生が、大手通信会社のコールセンターに現場実習生として入った。働き始めてから3か月後の2017年1月、学生は自殺した。この事件を題材にした実話ベースの作品。
ダンスの好きな女子高校生ソヒは担任教師から紹介され大手通信会社の下請けであるコールセンターに実習生として働き始める。しかし会社は従業員同士の競争を煽り、契約書で保証されているはずの給料も成果給も支払おうとしない。顧客の解約阻止のノルマがあり、そのことでトラブルが絶えなかった。
ある日、ソヒは指導役のチーム長が自殺したことにショックを受け、神経をすり減らしてゆく。会社側はチーム長の死を口止めし、弔問することを禁じた。会社を辞めれば済むことだったが、ソヒは学校や家庭の都合で会社を辞めることができなかった。
やがて会社の対応に不信をもったソヒは真冬の貯水池で入水自殺をする。
捜査を開始した女性刑事ユジンはソヒを死に追いやった会社の労働環境を調べ、根深い問題をはらんだ真実に迫っていく。ユジンは捜査を続け、多くの少女たちが職場で理不尽な目に遭い、孤立している現実を知る。
しかし会社、学校、役所、警察と現実の厚い壁が立ちはだかっていた。
前半はソヒの苦悩する姿を描き、後半は刑事ユジンがソヒの心の内を明らかにして告発していく展開だった。前半だけだと重苦しいストーリーだが後半でカタルシスを感じる。明るい少女が仕事をすることで暗くなってゆく姿に胸を打たれる。