自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

スティーグ・ラーソン「ミレニアム」3部作

北欧ミステリーの圧倒的な面白さ

映画「ドラゴンタトゥーの女」はアメリカ版、スウェーデン版、どちらもとても面白い作品だった。しかし原作であるスティーグ・ラーソンの小説「ミレニアム」には到底及ばない。小説は「ドラゴンタトゥーの女」「火と戯れる女」「眠れる女と狂卓の騎士」の3部構成。

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第1部は孤島で40年近く前に起きた少女の行方不明の事件の捜査をする記者ミカエルと、天才的ハッカーで異様なスタイルのドラゴンタトゥーの女リスベットの活躍と元ナチの大富豪一族をえがくミステリーだった。

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第2部はリスベットの出生の秘密と凄まじい過去が暴かれる。そしてソ連のスパイの亡命、コンピューター犯罪など、リスベットが特異な才能を生かすスリルとサスペンスあふれる物語になっている。「父さん、殺しに行くからね」 とリスベットはつぶやく。

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 第3部は一転して、警察から精神異常の殺人者と思われているリスベットは瀕死の重傷で入院している。彼女を救うためにミカエルはリスベットに味方する人たちを集めて「狂卓の騎士」を結成する。名前の由来はアーサー王物語の「円卓の騎士」だった。

公安警察、検察官、法務大臣、首相、マスコミ、ギャングなどを巻き込んだ国家的な大事件になり、法廷での裁判シーンが最高の見せ場になる。

 

 リスベットというヒロインの異様な風貌と強靭さ、波乱万丈のストーリー、100人近い登場人物というスケールの大きさ。ミステリー、サスペンス、スパイ、法廷劇、サイコ、警察小説、ハッカー、報道・・と様々な面白さがつまった一級品の小説で、読み始めると食事するのも眠るのも惜しかった。