自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

羊たちの沈黙 1991年

格調あるサイコスリラー

アメリカ ジョナサン・デミ監督

この映画はリアルタイムで、しかも映画館で鑑賞した。当時、このようなサイコスリラーはほとんどなかったので映画が終わった後も呆然としていた。今回、再々鑑賞したがクラリスが独房のレクター博士と面会するシーンから震えるような衝撃がはしった。

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優秀な女性FBI訓練生のクラリスアメリカ各地で起こっている連続猟奇殺人事件の捜査に加わる。犯人は女性の皮膚を剥ぐことからバッファロー・ビルと呼ばれていた。

 

クラリスは上司の命令で元精神科医の囚人ハンニバル・レクター博士の助言を求めるために、州立病院に向かう。レクター博士は威厳のある知的な紳士だったが、人食いハンニバルと呼ばれるサイコパスだった。

面会の時、病院の所長に「油断するとレクター博士は頭の中に入り込んでくる」と警告される。

 

殺害された女性の死体の喉の奥にドロクメンガタスズメの繭が押し込まれていた。繭はやがて蛾になり大きく羽を広げる。これがバッファロー・ビルの変身願望を象徴するものだった。

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女性の皮膚を剥ぐバッファロー・ビルは残虐な異常者にすぎなかった。ところが人間の肝臓に舌鼓をうつレクター博士はダークヒーローのようだった。「善悪の彼岸」にレクター博士の世界があり、それは実に魅惑的な世界かもしれない。

 

じっと耳を澄ませば羊たちの悲鳴が聞こえてくる・・そんな気がする映画だった。