自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ジョジョラビット 2019年

なぜかノスタルジー

アメリカ タイカ・ワイティティ監督

第二次大戦末期のドイツ、10歳のジョジョは美しい母ロージーと暮らしていた。父はイタリア戦線で戦っていると聞かされていた。ジョジョは「ヒトラーユーゲント」の団員として毎日訓練に励んでいたが、本当は優しくて臆病な少年だった。彼には空想上の友達「アドルフ・ヒトラー」がいた。

ある日、偶然、家の中に隠れていたユダヤ人の娘エルサを見つける。母のロージーが彼女を匿っていたのだ。

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大人の目線ではなく10歳の少年の眼からみたナチズムはまるでファンタジーがコメディのようで、なぜかノスタルジーを感じてしまう。

 

母と踊るジョジョユダヤの少女と踊るジョジョ、この二つのシーンがとてもよかった。

ジョジョ「自由になったら何をするの」エルサ「・・踊るわ」二人のこの会話が最後に生かされる。

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ビートルズの「抱きしめたい」の曲で始まり、最後はジョジョとエルサが身体を軽く揺らし、それが徐々に自由になった喜びのダンスに変わってゆくシーンで終わる。この見事なラストシーンが映画のすべてではないだろうか。

 

エンディング・ロールに流れるリルケの詩「すべてを経験せよ、美も恐怖も、生き続けよ、絶望が最後ではない」

 

26年前の今日、阪神淡路大震災があった。いつの時代も「絶望が最後ではない」といえるのではないか。