自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ルビー・スパークス 2012年

小説の中から登場したルビー

アメリカ、ジョナサン・デイトン、バレリー・ファレス監督

高校を中退して19歳で天才作家と呼ばれるようになったカルヴィン、しかしその後の10年間、スランプで一冊も本を書き上げることができなかった。セラピーをうけていた精神医から夢に出てきた女性のことを書くように勧められる。

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カルヴィンがその女性ルビー・スパークスの物語を書き始めると不思議なことに彼女が現実に現れる。最初、カルヴィンは自分が狂っている、だれにも彼女は見えないと思っていたが、周りの人にも見えることが分かり安心する。彼女は実在していたのだ。

そんな小説の中のルビーとカルヴィンが一緒に暮らし始める。人付き合いの苦手なカルヴィンはルビーを深く愛するようになる。

 

なんとカルヴィンがルビーのことをタイプライターで打つとその通りになる。彼女がカルヴィンを愛していると書けばそうなり、フランス語を話せると書くと突然ルビーはフランス語で話しだす。陽気になると書けば急にお喋りになるのだった。

そこにルビーの個性や自由はなく、単なるカルヴィンの操り人形だった。やがてルビーは自分が小説の中の女だと知って姿を消す。

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ルビー役のゾーイ・カザンがとてもチャーミングでステキだった。カルヴィンの母親役のアネット・ベニング、その恋人役のアントニオ・バンデラスもキラリと輝いていた。

 

コメディタッチのラブストーリーから終盤にはどこかホラーっぽい展開になってゆく。でもファンタジックでキュートないい映画だった。