自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ストックホルムでワルツを 2014年

スウェーデン語で歌う「テイクファイブ」

スウェーデン、ペール・フライ監督

スウェーデンの女性ジャズシンガー、モニカ・デタールンドの半生を映画化した。

1960年頃、ストックホルムから離れた田舎町ハーグフォッシュで電話交換手として働きながらバーで歌うシングルマザー、モニカ。

彼女は5歳の娘エヴァ=レナと両親と暮らしていた。

ある日、ニューヨークに呼ばれる。憧れていたエラ・フィッツジェラルドに歌を聴いてもらうが「誰かの真似ではなく、自分の気持ちで歌ったらどうなの」と言われる。今までの自分の成功は砂上の楼閣に過ぎなかった。

 

モニカは気持ちを込めるためジャズを英語ではなく母国語で歌おうとする。バーの片隅で「テイクファイブ」をスウェーデン語で口ずさむと自分の気持ちにぴったりとした。このシーンは実に秀逸だった。やがて実力も人気も兼ね備えたシンガーになってゆく。

しかし自分勝手すぎて歌や男で失敗をくりかえし、酒とタバコに溺れてゆく。父親はモニカのわがままな生き方を許さなかった。

 

ニューヨークでビル・エヴァンスと共演するというチャンスをつかみ「Waltz For Debby」をスウェーデン語で歌う。それがスウェーデンのラジオでも流れ、両親が聴いていた。

 

かつてミュージシャンだった父は夢への挑戦を諦めた。しかしモニカは高い木に登り、そこから見える広い世界で成功したいという夢に挑戦した。そしてジャズとワルツを母国語で歌った。