自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

國友公司「ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活」

どっこい生きている

西成区の4人に一人が生活保護受給者だが、あいりん地区だけをみれば割合はもっと高く、貧困ビジネスが横行する。元ヤクザやホームレスやシャブ中が徘徊し、社会からドロップアウトした人たちが暮らす町。

新世界国際劇場はオカマの魔窟、指名手配犯、頭のおかしい人、身の上話は嘘ばかり、解体現場では人が死ぬ、スーパー玉出の化学物質のたっぷり入った弁当、ドヤ(簡易宿泊所)は注射器が散乱、金を稼いでも大東洋のサウナや博打につかってしまい、また西成に戻ってくる。

何をするわけでもなくただ歩いている人たち、煙草一本を25円で売ってくれと言うホームレス。覚せい剤の密売所を襲う男たちがいる。

 

著者の國友は「自暴自棄といえばそれまでだが、彼らはどうしようもない運命を受け入れながら生きている」「この街にいる人間を見下していると言えばそうかもしれないが・・」とあとがきに書いている。

私も西成あいりん地区を何度か訪れたことはあるが、いつも昼間であり、ただ散策したという程度だった。もちろん線路沿いの通称「どろぼう市」や旧遊郭飛田新地も覗いたことがある。

夏の日、男が路上に横たわってまな板の鯉のように痙攣していたのを見たこともある。周りの人はただ通り過ぎてゆくだけだった。誰も救急車を呼ばなかった。

 

今年の初詣、今宮戎神社からその界隈を歩いてみた。通天閣ジャンジャン横丁は観光客が多かった。西成も外国人旅行者のゲストハウスなどが増えて今は変わりつつある。