自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

千年の古都

除夜の鐘に湧き上がる歓声

1994年8月、京都、上賀茂神社の「平安建都1200年記念野外コンサート」で都はるみは「千年の古都」を歌った。

 「♪・・ああ時は身じろぎもせず 悠久のまま 千年の古都♪」

 

ずいぶん前のことだが、私は中国人の女友達と一緒に大晦日知恩院で除夜の鐘をききながら新年を迎えようと、阪急電車河原町駅に降り立った。京都の大晦日の夜の人出は想像以上のものだった。鴨川に架けられた四条大橋は新年を迎えようとするたくさんの人々で賑わっていた。

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南座の前を過ぎ八坂神社を通りぬけ知恩院にたどりついた。凍るような京都の寒い夜だった。女友達が温かいお茶とおにぎりを用意してくれていたので二人で一息ついた。

するとその時、ゴーンという除夜の鐘が鳴り響いた。一瞬、静寂が訪れそして京都の町の至る所から一斉に唸るような歓声が湧き上がった。京都のすべての寺の鐘が鳴り響いたのか、とても厳かなもので身体中が震えるような強烈な体験だった。

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まさしく「千年の古都」の歓声だった。過去千年の間にどれほどの人が京都に生き、そして死んでいったのだろうか。あれは数知れない死者たちの歓声だったのだろうか。千年の歴史の重みを感じた。

中国人の 女友達は夜空の星を見つめていた。遠く中国の星を思い出していたのだろうか。