自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

レールズ&タイズ 2007年

これが日本未公開とは残念だ

アメリカ、アリソン・イーストウッド監督

 運転士のトムは毎日が憂鬱だった。妻のミーガンが末期の乳がんで余命僅かだったからだ。二人の間に子供はいなかった。

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トムの運転する列車が線路上に停車していた一台の車を轢いてしまう。車に乗っていた母親は死んでしまうが、11歳の息子ディヴイは衝突寸前に脱出した。母親の覚悟の自殺だった。孤児になったディヴィは里親に預けられるがそこを逃げ出してくる。

やがてディヴィはトムとミーガン夫妻の家に現れ、「なぜ急停止しなかった、ママを殺した」と殴りかかってくる。「列車はカーブにかかっており、急停止すると脱線する恐れがあった」

警察にディヴィの捜索願がだされていた。トムはディヴィを児童家庭局に連れて行こうとするが、ミーガンはディヴィと別れたくなかった。 

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トムは仕事一筋の男であり、妻のミーガンはまだまだ時間はあると思って子供をつくらなかった。そして死を間近にしたミーガンは「妻として女として看護師として成長したかったのに、母親にもなれなかった」と後悔する。

しかしディヴィと一緒に暮らし始めると「久しぶりに幸せな気分よ」とディヴィの世話をやくのが嬉しくてしかたなかった。「今まで人生は黒か白だと思っていた」トムはミーガンの「人生は灰色でいっぱいよ」という言葉にうなずく。

トムの作った鉄道模型に目を奪われる鉄道の好きなディヴィ・・二人はよく似ていた。

 

アリソン・イーストウッド監督はクリント・イーストウッドの娘で、親譲りなのか映画を撮るコツをよく知っている。つまり観客がこうなって欲しいという願いを次々と叶えてゆくのだ。その分、意外性は少ないが気持ちのいい良作になっていた。

 死期を悟ったミーガンはトムに一つのお願いをする「養育権を勝ち取って・・約束して」