自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ワイルド・ローズ 2018年

もう一つの「オズの魔法使い

イギリス、トム・ハーパー監督

スコットランドグラスゴー、シングルマザーのローズはカントリー歌手をめざし、アメリカのナッシュビルで歌うことが夢だった。

一年の刑期を終えて出所してきたローズには8歳の娘と5歳の息子がいた。留守の間、二人の子供を世話していたのはローズの母親マリオンだった。子どもたちは母親よりも祖母になついていた。

 

ローズは家政婦として働きだす。資産家の夫人スザンナはローズの歌唱力に驚き、彼女にデビューするチャンスを与えた。

「♪・・夢見た人生を生きてゆく、その夢が尽きるまで・・♪」

しかし「夢ばかり見ないで現実を見なさい」と母親に諭され、ローズは子供たちの大切さに気付き、夢を諦める。

 

ところが母親は「責任は持ってほしいけど、希望を奪うつもりはなかった」とナッシュビルへの旅費を出す。

「♪・・目指す場所を見つけたら、必ず道は見える‥♪」

ナッシュビルのステージに立ったローズは自分が歌う場所はここではないと思った。

そして一年後、グラスゴーのステージに立った。

 

「♪・・行ったり来たりしていた、でもいつも明かりを灯してくれた、ずっとありがとうと言うべきだった、自分の道を探すしかなかった、過ちを犯すしかなかった、どこよりも故郷が一番、初めてここがいいと気づいた・・♪」

グラスゴーの観客たちは大きな声援と拍手をおくる。

 

ただただローズの歌声に圧倒された。「ラスト5分、彼女の歌声にあなたはきっと涙する」このキャッチコピーに集約される映画だった。