自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

グッドライアー 偽りのゲーム

いつだって未来に乾杯

2019年、アメリカ ビル・コンドン監督

英国の名優二人、ヘレン・ミレンイアン・マッケランの繊細な演技で、まるで芳醇なワインのような味わいだった。

 

2009年のロンドン、老詐欺師のロイはインターネットの出会い系サイトで資産家の未亡人ベティと知り合う。もちろん狙いはベティの300万ポンドに近い財産だった。ベティは出会った時からなぜかロイを信頼し、一緒に暮らすようになる。

ロイはいかにも人のよさそうな老紳士だったが、チャリング・クロス駅では平然と男を殺す冷酷な男だった。

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しかしベティも孫のスティーブンと組んで何か企んでいるようだった。やがて私たちはロイもベティも詐欺師であり、これは「ライアーゲーム」だと気づく。銀のアウディに乗った謎の男がその様子を監視していた。

 

ところが物語が1943年のベルリンの回想シーンになると、これは当時のナチスドイツ時代に起こった痛ましい事件と関係のあることが分かる。

結末はある程度、予測はつくがそれでもクライムミステリーの面白さいっぱいの快作だった。

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パスワードを6文字の「lilies」と決め、ロイとベティは共同投資の口座をつくり、それを祝ってシャンパンで乾杯しようとする。ロイは計画通りに事がはこび満足だった。「何に乾杯しようか」とロイ、「いつだって未来に乾杯すべきよ」とベティは答える。

 

これは未来を信じて長い年月を生き抜いてきたドイツ女性「リリー」の復讐物語だった。